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寺田町校
【寺田町校】校舎ブログ122 プレジデントより 東大 京大の違い②
2026年06月01日
こんにちは。
121の続きです。
■どれだけ厚みのある知識を持っているか
一方、京大の社会科目は、東大とは違った顔を見せます。
京大社会では、知識そのものを正面から問う問題が比較的多く出題されます。地理、日本史、世界史のいずれでも、一問一答に近い形式の問題が一定数見られます。
ただし、これは単なる丸暗記を求めているということではありません。
京大で問われる知識は、細かい事実関係や用語の正確な理解を前提にしています。「なんとなく聞いたことがある」程度では対応できません。その知識が、頭の中で体系的に整理されている必要があります。
東大が「知っている情報をどう削るか」を見るのに対し、
京大は「その分野についてどれだけ厚みのある知識を持っているか」を見る。
ここにも、両大学の違いがあります。
東大は、情報を編集する力を重視する。京大は、知識を深く積み重ねる力を重視する。
この違いは、組織の中の人材にも当てはめることができます。
東大型の人は、会議やプロジェクトの場で、複雑な情報を整理して前に進めるのが得意です。一方、京大型の人は、特定のテーマを深く掘り下げ、その分野の見え方そのものを変えるような洞察を出すことが得意です。
どちらが優れているという話ではありません。組織には、両方が必要です。
■「どんな学生を伸ばしたいのか」という思想
理科にも、東大と京大の違いは表れています。
東大理科は、速度と総合力が求められます。物理では長い問題文から必要な条件を素早く見つけ、化学では多くの小問を時間内に処理していく必要があります。見慣れない設定が出ても、臨機応変に対応し、効率よく得点を積み重ねる力が問われます。
一方、京大理科は、深度と専門性がより強く表れます。物理では、目新しい題材について本質的な理解が求められ、化学では長いリード文を読み解きながら高度な思考を展開する問題が多く見られます。
東大は、バランスよく総合的に処理できる人を求めている。
京大は、専門分野を深く追究できる人を求めている。
こう見ると、東大と京大の違いは、単に問題形式の違いではなく、「どんな学生を伸ばしたいのか」という大学の思想の違いでもあることがわかります。
■入試問題で組織に必要な両輪を示唆
この違いをビジネスに置き換えると、非常に実感しやすくなります。
東大型の人材は、実務推進に強い。
大量の情報を整理し、期限内に結論を出し、関係者にわかりやすく伝える。プロジェクトを前に進める。複雑な状況を交通整理する。こうした場面では、東大型の能力が大きく役立ちます。
京大型の人材は、問いの設定に強い。
前例のないテーマに向き合う。既存の前提を疑う。別の視点から問題を見直す。深い知識をもとに、新しい構想を立ち上げる。こうした場面では、京大型の能力が力を発揮します。
会社の中でよく起こるのは、どちらかに偏ることです。
東大型の人ばかりが集まると、仕事は速く進みます。しかし、そもそもの問いを見直す機会が少なくなり、既存の枠組みの中で効率化することに偏りがちです。
京大型の人ばかりが集まると、深い議論や独創的な発想は生まれます。しかし、結論が出るまでに時間がかかり、実行に移るまでのスピードが落ちることもあります。
だから、組織に必要なのは両方です。
速く処理する人と、深く掘る人。
結論を出す人と、問いを立てる人。
編集する人と、掘り下げる人。
この組み合わせがある組織は強い。
東大と京大の入試問題は、そうした人材の違いを考えるうえでも、非常に示唆的です。
■最後に問われているのは「考え続ける力」
東大は「速い人」を取る。
京大は「深い人」を取る。
ただし、ここで誤解してはいけないのは、東大が浅い思考を求めているわけでも、京大が遅い思考を求めているわけでもないということです。
東大が求める速さとは、雑に処理する速さではありません。膨大な情報の中から本質を見抜き、限られた時間で最適な答えを作る速さです。
京大が求める深さとは、ただ長く考えることではありません。少ない手がかりから複数の視点を組み合わせ、自分なりの論理を立ち上げる深さです。
両者に共通しているのは、考えることから逃げない姿勢です。
東大は、時間の制約の中で考え続けられるかを問う。京大は、手がかりの少ない問いに対して考え続けられるかを問う。
形は違っても、どちらも「考え抜く力」を見ています。
そしてこれは、受験だけでなく、仕事や人生のあらゆる場面で必要な力です。
限られた時間で判断しなければならない場面もある。すぐに答えの出ない問いに向き合わなければならない場面もある。情報を短くまとめる必要もあれば、ひとつのテーマを深く掘り下げる必要もある。
だからこそ、自分は東大型なのか、京大型なのかを知ることには意味があります。
自分は情報を整理して前に進めるのが得意なのか。あるいは、問いを深く掘り下げるのが得意なのか。自分の強みを知れば、伸ばすべき力も見えてきます。
東大と京大の入試問題は、単なる難問の集まりではありません。
そこには、日本最高峰の大学が、どんな人材を求め、どんな知性を伸ばそうとしているのかが表れています。
東大は「速い人」を取り、
京大は「深い人」を取る。
その違いを知ることは、これからの時代に必要な「頭の良さ」を考える手がかりになるはずです。
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西岡 壱誠(にしおか・いっせい)
カルペ・ディエム代表
1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すものの、2年連続で不合格に。二浪中に開発した独自の勉強術を駆使して東大合格を果たす。2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国の高校で高校生に思考法・勉強法を教え、教師に指導法のコンサルティングを行っている。日曜劇場「ドラゴン桜」の監修や漫画「ドラゴン桜2」の編集も担当。著書はシリーズ45万部となる『東大読書』『東大作文』『東大思考』『東大算数』(いずれも東洋経済新報社)ほか多数。
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東大カルペ・ディエム(とうだいかるぺ・でぃえむ)
現役東大生を中心に活動する学術・教育プロジェクトチーム
2020年、西岡壱誠を代表として発足。東大合格までの道のりや独自の勉強法を持つメンバーが集まり、毎年200名以上の東大生を対象に学習調査を実施。思考力を鍛えるためのメソッドや教材を開発し、全国の講演やワークショップで若者の学びを支援している。
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